介護技術について

介護技術の向上というのは、様々な側面から見ることができます。言い換えれば、介護技術はさまざまなスキルの集合体であり総合的な技術の結晶だと言えます。

例えば、入浴拒否が強い人を入浴させる際には、基本的な入浴スキルの向上のほか、拒否を続ける人をうまく説得してうまく入浴まで誘導させるための会話術も必要です。またそのためには、説得に値する信頼関係を築いていることが必要です。その場限りの対応ではなく、常日頃からの対応によって今現在の反応が変わってくるのです。ここが対人間の深みであり難しいところだと言えます。

信頼関係を築くためには、利用者が「何を望んでいるか」ということを把握し、また把握するために力を注いでおかなければなりません。利用者が何を望んでいるのかについての洞察は、最初はうまく行かないかもしれませんが、次第に分かる部分が多くなってきます。また何より、利用者に対して真摯に向き合っていれば、利用者もそれを感じとります。

介護の仕事での何気ない行動の1つ1つ、例えば、利用者の動かし方であったり、車いすへの移乗の仕方であったり、そうした物理的なものへのスピードやテクニックなど。こうした作業にも、利用者の視点から行うことです。

最終目標はへ直ちにたどり着けるわけではありませんが、1つ1つのスキルの向上、利用者との信頼関係の強化の先に、介護スキルの向上が見えてきます。そう考えると、介護の技術は奥深いものだと思います。

経験と知識


介護技術は様々なケースを経験してその経験の上に成り立つものと、ある程度の医学的・介護的な座学知識に基づくものがあります。このどちらもが、バランスよく成り立ってこそ、介護スキルの向上が可能となります。

現場での経験を積めば、「こういうケースでトラブルが起きている」という事案に対して、「このケースではこう対応する」「では、こうしよう」という対処法を体で覚えることになります。瞬発力のある行動が出来るわけです。

一方、知識を増やすことによって、その事案についての理論的な裏付けが出来ます。これまで経験的に動いていたものが、理屈を伴って行動出来るようになります。その結果、次に起きる事案については、以前と全く同じでなくても、これまでの経験と知識から結論を導き出す事ができます。

経験だけに基づく行動は融通性にかけ、知識だけに基づく行動は自信に欠けると私は思っています。だから、経験と知識がバランスよく伴って、地に足ついたとした介護技術を向上させることが出来ると思うのです。

その結果、どんな事に対しても、「答え」をしっかり出せる技術が、本物の介護技術であるといえます。

より良い状態に向けての利用者からの要求にしっかりと答えを出す力、その答えを実現させるために具体的に取り組める行動力。これらを何度も経験し積み重ねて、利用者にとって、より良い環境に仕上げる事こそが介護の目指すところだと思うのです。利用者の幸福度を少しでも上げる事ができれば、それが最も良い介護となります。

最近良く言われる、QoLもその1つです。言葉にすると短いことですが、その背景には、介護に携わるもの一人ひとりの経験と知識が必要となります。

介護と医療の大きな違いは、身体における、『出来る部分と出来ない部分』へのアプローチの仕方だと思います。身体の不自由な部分をどうにか改善するのは医学的な考え方であり、それは医師や看護師、各分野の療法士にお任せするところです。介護のタッチするところではありません。介護では、身体の不自由な部分をどうするかというよりも、身体を用いできることに注目して、そこを使ってどう幸福度を高めていくかが大切です。利用者の幸福度を高めれば、生活の質が変わります。

介護に携わる上では、その答えを素早く出せる技術が必要なのです。

介護技術はいつからでも向上できます。その人に向上する意思さえあれば、幾らでも技術を高めていけるものです。日々の仕事が1つ1つの経験ですし、覚えることも山ほどあります。介護の仕事をしていれば、自分にもっと知識があれば・・と思うことは何度もあります。

介護の現場にいて働き続けるのであれば、介護技術の向上が不可欠ですので、技術の向上に向けて、しっかりと経験を積み、知識の習得にも努めていかなければと日々思うところです。