介護経営で儲かっているところと儲かっていないところ

介護施設の経営のモデルというのはシンプルです。介護施設の空き部屋を埋めて利益を出す。ただ、それだけです。それだけの面から見れば、アパートの管理人と同じくらい楽なものです。ただ、介護施設にはそこへ介護が入ります。

どうすれば利用者が増えるのかという点、どうすれば効率の良い経営が出来るのかという点が関わってきます。

介護は人による行為ですから、どうしても質のばらつきが出てしまいます。プロとしては一定の質の介護を提供すべきなのは言うまでもありませんが、人と人のつながりである以上、合う合わないという側面は出てきます。

また、経営である以上、効率性を求められるのは当然です。お金をかけて質の良いサービスを提供するはずが、実はお金をかけすぎて赤字になっていたのでは、サービスは長続きさせることが出来ません。また反対に、費用を節約しすぎたたために、サービス品質が下がってしまうと、利用者からの評価が下がり、利用者の減少につながります。

そして、良い経営を行う施設は、財務的に良好となるので、ふつうは施設で働くスタッフに還元されます。それは給料アップであったりボーナスアップであったり、あるいは勤務条件の改善などに繋がるということです。

さて、介護の経営について見ていきたいと思います。

【利用者からもらえる料金は決まっている】
介護で特徴的なのは、介護サービスに対して、得られる収入が決まっているという事です。部屋の数だけの収入であり、サービスをよくすれば収入が増えるという事もありません。介護サービスは国によって料金が定められているからです。それが介護報酬というものです。多くの人が介護サービスを受けられるように、介護サービスには国からも負担金が出ています。そのため、介護サービスは厳格にサービス毎に料金が定められているのです。

介護報酬が決まっているために、ずば抜けて質の良い介護サービスの提供が難しい代わりに、多くの人が介護サービスを受けることが出来るという良い面もあります。日本は高齢化社会で多くの人が介護サービスを受ける必要に迫られています。そこで、介護報酬を定めて介護の質にばらつきが出ないようにしているのです。

一方、有料老人ホームなどでは前金で何百万円と取るところもあります。儲けるところはそうした部屋一つに対する値段を高く設定し、人件費を削減しているところです。そうしたところはビジネスとして見れば、成功に近いところに位置すると思います。逆に安い部屋代を設定して、補助金ばかりに頼る形式を取っているとビジネスとして成功しません。

どちらが良いかというのはさておき、それぞれポリシーの違いである以上、100人経営者がいれば100通りの経営方針があって当然でしょう。1つ言えることは、適切なサービスを適切な料金で提供するやりかたは、長い目で見れば信用を得られ利用者も集まってくるのではないかと思います。

【より高いマネジメント能力が必要】
介護の世界は給料が安いと言われていますが、マネージメントの観点で見れば、雇う介護職員のスキルが高くても給料が高すぎでは経営が不安定になってしまいますし、反対に介護職員の給料が安くで住んでもスキルが低すぎでは、これまた利用者は不安になってしまいます。

ベストなのは、介護職員を安く雇い、働いていくうちに成長してもらうということだと思いますが、簡単ではありません。そこで、ある程度高い技術を持つ介護職員を雇って育てる事が大切になってきます。そうしたマネジメントは必要になってきます。コアと成る職員が揃ってくれば、OJTによる教育体制も整ってきます。ただ、そこに至るまでには一朝一夕にはいかないので、ある程度の期間、運営し続けることが求められます。

一方、儲かる施設というのは、仕事に「付加価値」をつけることでスタッフのモチベーションを高めようとします。つまり、今の現場で働いていることで得られるベネフィットを高めようとするのです。

例えば社内の人間関係がいいとか、やっていてやりがいがあるだとか、飴と鞭がしっかりしているだとか。職場の人間関係を重視する人は結構居ますから、職場の人間関係が良いというのは、大きなポイントですね。

こうした付加価値によって、スタッフのやる気を引き出すことができればある意味成功です。スタッフが意欲を出して働いてもらえる環境であれば、その職場は良い循環で回っていきます。その結果として、利用者の増加、スタッフの増員、ベッドの数の増加、給料のアップ、拠点数の増加など、経営が大きく回っていきます。

介護施設の経営というのは、単純なモデルではあるものの、困難なことたびたび発生し大変なものです。利益重視で見るならば、そこまで大きな利潤を生みだすものではありません。国による制度の改正もあって、経営は厳しくなる傾向にあります。

現在は国から補助金という形が出ていますが、個人的な考えでは、この状態がいつまでも継続する訳はないと思います。そんな中で、より多くの要介護者を受け入れていかなければならないわけですが、時代の変化に併せて経営への考えも代えなければならないのは当然です。

今後ますます少子高齢化社会になるにつれて、福祉の面での舵取りは国も民間も知恵を絞らなければなりません。そうした中で、介護に携わる経営者として如何に立ち回れるかが鍵となって来ると思います。