介護の人件費と給料について

介護の経営も、一般の会社経営についてと同じく最も費用がかかるのが人件費です。

その人件費を削ろうと経営者は頑張っています。大きな割合を占める人件費を圧縮することは当然のことであり、それはどんな組織でも同じだと言えます。

それが結果的に介護の給料の低さにつながってきているのです。人件費圧縮は組織の運営の上での至上命題であり、どこかで解決を計らなければいけないのは誰でもわかっているのですが、なかなか解決しないのが現状です。

その理由に介護の業務の性質がかかわってきます。介護の仕事は人が人に対してサービスを提供する業務ですので、人が資本という側面があるのです。業務の効率化によって人件費が圧縮できたとしても、それでスタッフのモチベーションが下がってしまっては元も子もありません。他の業種でも最終的には人が資本ということは言えますが、介護ではその割合が高いのです。

もう1つの特徴として、介護は医療と同様、国によって収入額が定められているということです。これがいわゆる『介護報酬』というものであり、1つの介護業務について、何単位が付くかということが明確に定められています。

通所介護では、規模・時間・要介護度・要支援度によって何ポイントか、訪問介護では1回何時間で何ポイントか、などという分類で細かく分けられています。そしてその結果、介護にかかる費用が算定され、利用者はその1割を支払うと決まっているのです。これが介護保険のしくみで、介護サービス利用者に多額の負担がかからないようになっています。

ここで、かかった費用の9割は税金から出ることを意味しており、税金から介護に出る額を厳格に管理するためでもあります。

このために、介護の経営では多くの収入を得ることはできないのです。

そんな中でも、人件費にどれだけの額を割り当てることができるかは施設によって異なります。

【安く雇って辞めれば補充すればいいという考え】
介護は一般的に給料が低いです。給料が高いという理由から、介護を始める人はいないと思います。

介護に来た理由としては、どちらかというと、しょうがなく介護の仕事に就くことになったという人の方が多いのではないでしょうか?

色々な仕事を経験してきたものの、年齢やスキル等の関係でつける仕事がなくなり、それで最後の手段として、介護の仕事に就くことになったという経緯が多いように思います。

そうした人は、仕事がなくて困っているわけですから給料が安くても求人に飛びついてしまいます。給料が安くで済む人が多くなれば、それだけ人件費は少なくなりますから経営は楽になるでしょう。

介護の世界というのは、シフトの穴さえ埋められればいいという考え方をもつ経営者も多いです。
実際、「この人がいなければできない」という仕事はあまりありません。もちろん、経験が長い人の方がスムーズに仕事をこなせるのですが、その経験に対して高いお金を払うのであれば、安い金額でスキルの低い人でも良いと考える、経営者が多いのです。

ただ、失敗した時には平等に責任がのしかかります。
そうした制度の中で、安く雇えばそれだけ経営者が儲かるシステムができあがっているのです。そうした側面が、介護の限界です。

この辺り、利益至上主義の残念な経営者がいるのも事実です。あとは、介護保険によって収入が管理されているという点もあるでしょう。質の良いサービスでも悪いサービスでも、付く単位は変わりませんから。幾ら介護技術があっても、それで儲けが出るわけではありません。

さらに、こうした低賃金雇用の考えがはびこる理由の1つとして、今の時代、高齢者施設は順番待ちしているほど人気があるということがあります。介護施設があれば、ジャンジャン利用者が集まってくれます。だから職員の対応まで気を配っている人はあまりいないのです。

この低賃金労働の行きつく先が、外国人労働者ではないかと思います。実際、介護や看護の世界で外国人技術者を入れようという動きも出てきていますね。

ちなみに、民主社会主義国家といわれている北欧などの国では、安い外国人労働者が介護を行っています。それによって介護を支えているのです。

しかし、やはり日本の高齢者は、外国人介護スタッフに支援してもらうことには拒否反応があるのではないでしょうか。まだ日本には、言葉が不自由な外国人労働者とうまくやって行く文化が根付いているとも思えません。ましてや、介護は自分の体が不自由な状態で、心理的にも不安がいっぱいです。きちんと意思疎通ができる日本人に見てもらった方が安心なはずです。言語も通じない相手に介護をするというのもおかしな話です。

介護士の給料を上げながら、経営していく。そうした道筋ができていく方向でこれからいけば、介護の未来はもっと明るくなるはずですが、増え続ける要介護者・要支援者と、税金負担といった状況を考えると、どこに着地点を置くのか、暗中模索がまだまだ続きそうです。